collection

10th collection
Flowers lll

"flowers" from series of C/M/Y/K
photographs by Yuji Hamada

project

photographs by Aya Yamamoto

「Do not go gentle into that good night (仮)」

2017年秋から2年ほどかけて撮影したこのシリーズは、祖母と私の最後の遊びであり、対話である。 千葉の海沿いにある小さな町に住んでいた90過ぎの祖母に、writtenafterwardsの服を着せてみ ようと思いついたのは、flowersのコレクションを見たときである。私が子供の頃に夢見た服を具現化したようなこのコレクションに心動かされ、何か作品を作ってみたいと考えたのだ。 しかしながら、私の祖母は体面を気にする保守的な人間で、山縣氏の前衛的な服を見てどのような反応をするかは未知であった。赤やピンクや白の、斬新な素材で作られた、初めて見る造形の華やかな服たちを、意外にも祖母はたいそう喜んで、生地を眺めて目をキラキラとさせた。自らおしろいと紅を塗って髪をなおし、カメラの前に鎮座すると、照れ臭そうに 笑ったり、おどけてみせたりする。「いいね、かわいいね」「かっこいいね」「素敵ね」などと、家族に盛り立てられて、祖母は嬉しそうであった。こうして、このシリーズは始まった。 撮り始めた頃は、杖をついて庭に出たりすることもできた祖母だったが、だんだんと家から 出られなくなり、そのあとは入院と介護施設を行ったり来たりであった。それに伴って、撮影できる環境も、時間も変わっていく。介護施設に入った頃はベッドに腰掛けてポーズをとることもできたが、最後は横になったままの祖母に服を着せて写真を撮った。それでも毎 回、10分弱、私が急いで36枚撮りのフィルムを使い切る間は、祖母はなにがしかのステージ に立った主役のように振舞って、その度に私はなにか普遍的で動物的な、「着飾ることの尊厳」のようなものを感じさせられた。棺に入る前の最後の撮影のときでさえも。「服」というものは、身体と時間とに深く繋がっている。「写真」とも重なるこのことを、writtenの服が祖母と私の触媒となり、実感をもって認識させてくれたのだ。

image 0